[2冊目]ムダ時間削減術

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□書 名:ムダ時間削減術
□著 者:西田順正

--------------- 内 容 -------------ーー

1.ムダ時間の種類

ムダ時間には2つある
①だらだら時間(どんくさい時間)
・一見すると働いているように見えるが、ゆっくりとムダな動作で仕事をしている。手際が悪くて仕事が遅い。
・だらだらとしているかは「基準時間」と比較することによりわかる。
②ぼーっと時間
・手待ちの状態で何もしていない。

 

時間管理の目標
・”稼ぐ働き”、つまり付加価値のある仕事をすることにある。

 

だらだら時間をあぶり出す
・まずは“基準時間”を設ける。そのために有効なのは日報をつけること。他人に日報をつけてもらうには目的、意義、活用方法をちゃんと伝えること。
・日報のポイントは次の2つ
①ルーチン化する。そのためには入力作業を簡素化し、迷ったり、判断が必要な項目をなくす。
②リアルタイム化する。当日中に機械的に入力が終えるようにする。
・日報をつけることが難しい現場作業では、出来高と標準時間とを掛け合わせ、見なし時間で記録する。

 

目標時間を設定する
・目標時間を設定しないと人間はだらだらを過ごしてしまう悪い癖がある。逆に締め切り時間を設けることで、人間に集中力が高まる傾向がある。ムダ時間をそぎ落とすためには目標時間の設定は避けて通れない。
・改善が進むと標準時間を定期的に見直しを行う。

 

ぼーっと時間をあぶり出す
・だらだら時間がつぶせなければ、ぼーっと時間は現れてこない。まずはだらだら時間を減らすことから始める。
・付加価値を生み出していない時間は全て、ぼーっと時間と位置づける(掃除や打ち合わせなど)。ぼーっと時間はゼロにはできない。


2.改善を行う
(1)能率100%改善
・能率を改善する際にはQCDを念頭においておく必要がある。このうち、Qを優先させた方が経験的にDも守れ、Cも下がる傾向がある。
・能率アップの第一歩は作業の分解である。作業を分解して、まずはそれぞれの工程の作業時間を洗い出して、ムダを探す。
・その人しかできない作業と分業可能な作業とを腑分けし、他の人と手分けができないかを考える。
・作業分担を行う上ではスキルマップを使う。

 

(2)能率130%改善
1)過剰品質のムダ
・丁寧すぎて過剰品質のムダがないかを探し、シンプルに変えていく。

2)作りすぎのムダ
・作りすぎのムダは、直接だらだら時間となり、更には廃棄コストにもつながるので今すぐやめる。

3)動作のムダ
①できるだけ小さな身体部位を使う
・小さな部位で済ませられないなら、順番に大きな身体部位にエスカレーションする。
例:指⇒手首⇒ひじ⇒肩⇒腰⇒足
②両手で同時スタート、同時実行。
・人間は両手があるので、作業時間を最大半分にすることができる。
③両手を左右対称に動かす。
・身体をひねるような動作をなくし、身体のセンタでー中心で仕事を行う
④考え込むムダをなくす。
・10分考えてだめなら、他人に相談する。

4)移動のムダ
・移動ゼロを目指し、必要なものがすぐに取り出せるようにしておく。

5)ちょこ待ちのムダ
・本来の仕事とは別に行えるちょこっとした仕事をあらかじめ決めておく。


(3)能率200%改善
ECRSで考える。
・E:Eliminate、排除する。なくせないか。
・C:Combine、結合する。組み合わせられないか。
・R:Rearrage、交換する。入れ替えができないか。
・Simplify、簡素化。簡単にできないか。

 

--------------- 感 想 -------------ーー

 だらだら時間、ぼーっと時間とわかりやすくムダ時間を分類して、具体的に対応策を提示して頂いているので、業務改善には役立つ内容です。

 ただし、サービスマンやブルーカラー中心に話が展開されており、ホワイトカラーの生産性向上については、目標時間を設定の重要性の件だけなので、切り込みが足らない様に思います。

 小職が考えるにはホワイトカラーの場合は、成果物が形があるものとは限らないので、

  相手の関心分析や期待値のコントロール十分でなくて、成果物が曖昧な状態

  で推移し、完成品を提示後に大きな手戻りが発生する。

というのが最大のムダ要因だと思います。また、

  タイミングを逃して成果物を提示することで、成果物が不要物になる。

ということもあります。

 要は、仕事はそれに関わる人々の連鎖から成り立っているので、その連鎖がうまく回らなくなるものはすべてムダ要因と言えるでしょう。

 各論であれば、情報検索のムダ、待ち時間のムダ、パーキンソンの法則とかが挙げられます。この様に書いていくと、プロジェクト・マネジメントのCCPMにつながる様に思えるので、また別途お話しましょう。