[7冊目]目標達成する技術 (マイケルボルダック)

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□書 名:目標達成する技術 ~どんな目標も達成できる「成功の心理学」
□著 者:マイケルボルダック

--------------- 内 容 ---------------

1.人間の行動原理

本能的プログラム:「痛みから遠ざかり、快楽を求める」
・人生を変える唯一の方法は自分のステージをあげることである。だが、痛みという原動力がなければ、やる気を持ってステージをあげて人生を変えようしない。痛みは友達であり、何かを変えなければいけないことを教えてくれるギフトである。
・だが、痛みを持ったままではゴールに向かうことはできない。人は痛みを避ける習性があるためだ。
①痛みの感情を使い、強力なスタートダッシュを切る。
②次の段階では快楽の感情を使う。楽しくないと大きなゴールは達成できない。

 

安楽の力
・やるべきことが分かっているのに行動を起こさないのは、今の状態が心地が良いからである。痛みを感じたくないという感情が心地の良い状態にとどめてしまう。
・「心地が良い状態」は成長することの反対であり、成長とは居心地の悪さをどれだけ、居心地よくするかにある。

 

人生をマスターするには
・人生をマスターするには感情、健康、人間関係、お金、時間の5つの分野をマスターする必要がある。だが、「感情」をマスターしなければ他の分野をマスターできない。
・目標を達成する人は、目標を作った時には方法なんて知らない。だが、どうしても達成しなければならない感情的理由を持っている。
・人は自分自身のためより他人のための方が、より高いモチベーションを持つことができる。

 

感情をマスターする
・”怒り”などの好ましくない感情を、一瞬で完全な愛に変えられるか?
 自分に情熱を持たせたり、ワクワクを感じさせたりすることが自由自在にできるか?
 感情をマスターするということはそういうことだ。
・感情は、自然に生まれるものではない。人は「なぜ私は落ち込んだのだろう?」というが、それは違う。落ち込むことを自動機械の様に行っているに過ぎない。

 

2.目標とビジョン

人間の究極的目的「6つの感情的ニーズ」
①確実感
 人間は確信や安心感を持っていたい。そうでないと、不安や恐怖を感じるため。
②不確実感
 変化と多様性のニーズ。確実性があり過ぎると、退屈を感じるようになる。情熱は不確実性から生まれる。
③重要感
 尊敬であり、他人から重要だと思われ、称賛されたい。
④つながりと愛
 誰かとつながっていたい、何かに所属していたいという欲求。
 3段階ある。自己愛⇒愛の交換⇒無償の愛
⑤成長
 人間は誰もが、成長してより良い人生を送りたいと望む。将来がこれ以上よくならないと思えば、良い感情を維持できなくなる。人は成長するか、衰退するかのどちらかであり、現状維持はない。
⑥貢献
 人に貢献すること、与えること、役立つことにより満たされるニーズ。これによって、自分の存在意義が、自分の外部にも存在することが感じられる。

 

究極のビジョン
・究極のビジョンは、大きな感情的パワーを生む。しかし、遠すぎる目標であるので、一年以内の目標にブレークダウンする。
①究極のビジョン
②その感情的な理由
③何を得られるか
④究極のビジョンを達成したことが分かる証拠は
⑤何が聞こえているか、周りが何を言っているか
⑥その時に何を感じるか

 

ゴールの設定
・6か月または12カ月の間に達成しなければならないゴールは何かを認識する。
①コンテンツを作る
②人脈を作る

 

1分間ダウンサイジング
・どんな仕事や勉強なども、「1分間だけやればよい」と考える。そうすれば、感情的な痛みはなくなる。1分間で人生は変わる、変えられるのだ。どんあことでも、「1分でいいや」と思えばいい。
・多くの人が目標達成のための計画を実行できないのは、そのプロセス全体にフォーカスしてしまうから。だからいやになる。行動は感情次第である。


2.フォーカスの力

フォーカスの法則
・多くの人が目標を達成できないのは、目標に集中し続けることができないからである。アンソニーロビンズは「あなたは、自分がフォーカスしたものを得る」という。
・フォーカスはパワーだが、それを妨げるものは3つある。
 ①恐怖:怖いと思うとそれにフォーカスしてしまう。そして正しい感情を持たず、悪い  感情を持つ。
 ②手頃な満足:TV、ネット、飲酒は全て簡単に得られる快楽であり、邪魔するもの。
 ③他人:他人が仕事を邪魔をする。

 

フォーカスのコントロール
・人間の思考は1日に2~3万回行われると言われる。この思考のフォーカスをコントロールできれば、自由に感情をコントロールできる様になる。
・コントロールは容易ではない。だが、質問を使えばコントロールが可能になる。
・人間の行動と結果の関係を考えると、「感情⇒行動⇒結果」というプロセスとなる。質問を使うことで、
「自分への質問⇒フォーカスのコントロール⇒適切な感情⇒望ましい行動⇒正しい結果」と改善出来る。
・質問は自分が物事をどう解釈するかによって作られている。繰り返し質問を投げると、人生に一貫したフォーカスを作り出し、フォーカスはある特定の感情を抱かせる。

・パワーを与える質問をすれば、自分を改善できる。
 例:どうしたら私の人生をもっと良くできるだろうか?
   どうしたら私はビジネスチャンスをより掴み、余計なリスクを減らせるだろうか
   この出来事の良かった点はなんだろう?
・悪い質問は悪い感情を作り出す。
 例:私のどこがいたらないのだろう?⇒常に不安な感情を抱かせる。

・私たちの人生の質は、私たちが自分にしている質問の”質”である。全ての人間は、いつも2つの質問をしている。
 「これはどういう意味?」、「それについて、私は何をすべき?」
・人間はどんな出来事に対しても、自分の好きなように意味づけができるのにも関わらず、多くの人はそれをネガティブにしてしまう。全ての痛みの感情は、ネガティブな意味づけからきている。
・本来、出来事そのものには意味がない。自分が意味づけをしているのだから、良い質問をすればいい。
 例:「視点を変えた場合、この出来事の良い点はなんだろう?」、
   「この問題を解決すれば、そのような力が身につけられるか?」
   「この経験をどうやって活かせるか?」
   「この出来事から得られるギフトはなんだろうか?」

 

自分への質問
①目標の設定
 「私は何を実現させたいのか?」
 「私が今、コミットして欲しい結果は何なのか?」
 「なぜ、私はその結果を得たいのだろうか?それは私に何を与えてくれるだろうか?
②行動を起こす
 「私はその結果を達成するため、どのように具体的な行動をとる必要があるのか?」
 「そのため私はどんな人間になればよいのか?」
③やり抜く
 「どうしたら、この壁とクリアできるのだろうか?」
 「このプロセスを楽しめているだろうか?」
 「私は今この瞬間、全力で努力をしているだろうか?」
 「どうしたら、全力を尽くせるだろうか?」
④7つのフィードバック
 「よくできた点は何か?」
 「それはなぜうまくいったのか?」
 「今後も続けた方が良いことは何か?」
 「上手くいかなかった点は何か?」
 「それはなぜうまくいかなかったのか?」
 「今後やめた方が良いことは何か?」
 「今後改善すべき点はどこか?」


3.信念の力

リミティング・ビリーフ
・信念とは単なる思い込みであり、事実ではない。だが、「自分に価値がある」と思う人と、「自分には価値がない」と思っている人では、どちらが行動を生み出すだろうか。
・自分に力を与え、行動を生み出す信念を作ることが成功のカギである。だが、自分自身を制限してしまうような信念「リミティング・ビリーフ」が存在している可能性がある。人生で感じるすべての痛みは、このリミティング・ビリーフから生まれている。
・新しいレベルに行くには、新しい信念が必要である。信念は善悪でもなく、事実でもない。自分の目標達成にとって力になるかどうかが重要である。成功しようと思ったら、「私はできる」と信じなくてはならない。

 

潜在意識
・潜在意識は強い力で、自分に大きな影響を与え、行動を決定する。もし、リミティングビリーフが「私は怠け者である」と口にすると、潜在意識はその言葉通りにしようと自分に命令を下してしまう。潜在意識は善悪でなく、信念のままに働くだけである。

 

インカンテーション
・潜在意識にポジティブな言葉を投げかけて、新たな信念を生み出すのがインカンテーションである。
・もっとも重要な感情である”確信”をもって叫び、更に思い切り体を動かしながら、自分に話かける。例えば、
「私は、見ている!聞いている!感じている!そして知っている!
 私は仕事の天才だ!イエス!」


4.決断

決断力
・本当に成功したいのであれば、決断が必要だ。決断力の欠如というのは、成功するための真の決断をまだ行っていない状態。真の決断とは退路を断つこと。裏口を閉めて、鍵をかけ、その鍵を捨てる。
・真の決断をしているなら、どんな障害があっても、それを乗り越えて成功する方法を見つけ出す。決断すれば、50%は達成したも同様である。

 

決断が重要
・決断すれば、欲しいものを手に入れる道は常に開ける。しかし、完全な決断をしない限り、道は開けない。
・本当に100%の決断をすれば、たとえ今はまだ道が存在しなかったとしても、ゴールに到達する道を見つけることができる。
・そのためには、ゴールが自分の価値観に結びついているかどうかが重要。そのためには自分の人生において最も重要なものは何かを自分に問いかける必要がある。
 「あなたは一体なぜここにいるのか?」
 「あなたの使命は何なのか?」
 「あなたの目的は?」
・そしてその目的を常に覚えていること。覚えているがゆえに、何かを選択するときに、一番良い決断を効率的にできる。

 

--------------- 感 想 ---------------

NLPという心理学を応用した目標達成の方法論を論じた本です。この中で、非常に興味深いと思ったのは、

 適切な質問を自分自身に行う

  ⇒思考のフォーカスをコントロールすることできるようになる

   ⇒感情をコントロール出来るようになる

というくだりです。

・この考え方からすると、”内省”とは「できてないやん!」とネガティブな感情を含んで反省することでなく、自分自身に対して客観的に質問を繰り返していくことが重要だという事がわかりました。

 

 

講演録:頓悟漸修という生き方(玄侑宗久氏)

 禅は六祖の後、「頓悟」「漸悟」という二つの潮流に分かれるのだが、これは禅の教学的な問題というより、人生上の問題である。現代における禅的な生き方を考えてみたい。

①始覚思想(北宗)・神秀(左側)
・神秀は唐の時代に玄奘三蔵と並び称せられるだけの立派なお坊さんだった。しかし、禅の歴史では、荷沢神会以来は慧能の方が正統と扱っている。
「この身は悟りにいたり
 心は鏡のように明らか
 でも、塵がつきやすいので
 毎日塵を払うように修行する」
・塵を払うために努力するなら競争が必要になる。今の世の中は”神秀”寄りといえる。

②本覚思想(南宗)・慧能(右側)
慧能は無学文盲で南の野蛮人だったと言われる。達磨から禅の歴史では、学問なんか関係ないという極端な発想である。人は元から仏であったという方向付けがされた。
「菩提に木なんかない
 鏡の台なんかあるのか
 本来ムイツブツ
 どこに塵がつくのか」

 

敦煌文献
慧能の弟子である荷沢神会(かたくじんね)は達磨さんが南インドから来たので、南宗が正統であるといった。
敦煌文献の発見から禅の歴史が1900年代に明らかになってきたが、達磨自身は”学問”も”修行(座禅)”も大事であるとしている。荷沢神会以降にねつ造されたと考えられる。

無事や平常心
・無事とは「外に何も求めるな」という意味。
・平常心とは「平常なことが一番良い」という意味。
・「そのままでいい」というのは、人に元気を与える事が出来る。でも、雲を払うためには、何かを求めて本講座に出かけるのも必要。

 

ありのままでいいのか、精進努力するのか
②について
・馬祖道一は「現状の自分をそのまま肯定する」という方向で説いた。馬祖道一の語録が弟子達にまとめられて公案禅となり、後の臨済宗の流れになる。こちらは現在を肯定するという面で元気になる。
①について
慧能の弟子だった石頭希遷は、慧能の死後に青原行思に師事し、「本来の自己(彼)と今のあなたは違う。本来の自分に目覚めなければならない。」と説き、後の曹洞宗のルーツとなった。だが、こちらは今を否定することになるので暗くなりやすい。
・ちなみに両者は仲が悪いということはなく、弟子の往来があった。どっちが正しいと考えない方がよいと言える。


曹洞宗臨済宗
①からは計画性や目標という傾向がある(曹洞宗
②からは統一性のないという傾向がある(臨済宗

鏡と無意識
芭蕉が仏頂禅師に参禅していたとき、「かわず飛び込む水の音」が出てきた
。無意識の中に命の躍動する音が聞こえたというのが、芭蕉の考え。
無為自然という老荘的な考えになっていく。

儒教道教
・①は儒教的な考え、秩序を重んじる。
・②は道教的な考え、和合が第一をいう考え。競争とは馴染まない考え。

白隠禅師
・座禅和讃は若いときに書いたものだが、冒頭「衆生本来仏なり」とはサービスしすぎと晩年後悔している様子が伺える。
・厳しいことを言わないと弟子は育たない。自分で谷底まで水をくみに行くことで初めて、水のおいしさが感じられる。


趙州和尚の問答
「趙州 南泉に問う、如何なるか 是れ道? 泉云く、平常心 是れ道。 州云く、還って趣向すべきや否や? 泉云く、向わんと擬すれば即ち背く。」
「道とはどんなものか
 平等心が道だよ
 どうしたらつかめるか
 つかもうとおもうとダメ
 手に入れられないならどうしてわかる
 わからないというのも無自覚といえる。わかるとかわからないとかが離れれば良い」
・目指すべき方向付けは自覚に行う必要がある。だが、そのままでは見つからない。それを忘れることに発見することができる。
・自己肯定は大事であるが、鍛錬しなければ成長しない。だから、公案禅が出てきた。


百丈野狐
・『無門関』第二則に「百丈野狐(ひゃくじょうやこ)」という公案がある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーWikiよりーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 百丈が説法していたとき、一人の老人が説法を聞いていた。 ある日老人は退かず一人残ります。百丈は不思議に思い、「一体、お前さんは誰か」と声をかけた。
老人は「私は人間ではありません。大昔この山この寺の住職として住んでいた。ある時、一人の修行者が私に質問をした。
『修行に修行を重ね大悟徹底した人は因果律(いんがりつ)の制約を受けるでしょうか、受けないでしょうか?』。
私は、即座に、
『不落因果――因果の制約を受けない』と答えた。
 その答えの故にその途端、わたしは野狐の身に堕とされ五百生(五百回の生まれ変わり)して今日に至った。正しい見解をお示し助けて下さい」と懇願した。
そこで、この老人が百丈に同じ質問を問う。「禅の修行が良くできた人でも、因果の法則を免れることはできないのか?」。
百丈は即座に「不眛因果」(因果の法則をくらますことはできない)と答えた。
老人は百丈の言葉によって大悟し、礼拝して去った。その大悟にて野狐の身を脱することができたという。
この問答のあと、百丈は寺の裏山で死んだ狐を亡僧法に依って火葬した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーWikiからーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・こうすればこうなるというのが①の考え。後先考えずに今に没頭するのか②の考え。


目標は良いのか
・10年前の目標を捕らわれてもいいのか? でも、不安だから計画を立てる。最近はコンピュータに頼り、データ分析に走る。
・因果においてあまり先を考えすぎて生きていては打算的になるものの、「非眩因果」で近い先を考えて行動する必要はある。「不落因果」では人間が傲慢になり、堕落しやすい。
・業(潜勢力)は存在するので、不落因果はありえない。人は過去の自分とつながっている。特に近い過去の影響を受ける。


始覚にはじめ本覚に達する
・修行のきっかけを得て、修行して学びはじめる。それにより、自分が仏であることを気づいていくというのがあるべき姿である。

[6冊目]採用基準

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□書 名:採用基準
□著 者:伊賀泰代

--------------- 内 容 ---------------

1.リーダーシップと日本人

成果より和を尊ぶ組織
・高い成果目標がチームに課された時、初めてリーダーシップは必要とされる。そして、成果が厳しく求められない状況が多いこそ日本ではリーダーシップが問われることが少ない。成果が達成されなくてもよいのであれば、あえて摩擦を起こし、他部署の意見に強く反対する必要性は誰にもみつけられないでしょう。
・また、日本では、本来、成果目標を問うべき状況であるにもかかわらず、その目標が明確にされないために、みんなが和を優先し、誰もリーダーシップを発揮しないことがよくおこる。

 

日本の管理職
・日本の管理職は、管理能力、リーダーシップ、プレーヤーとしての能力の全てを求められるにも関わらず、管理能力とプレーヤーとしての能力が一定水準に達することで管理職に就くことが多い。
・また、調整役もリーダーと間違われている。調整役がいると話がうまく進むことが多いが、これはリーダーではない。組織としての高い成果よりも、関係者の気持ちや組織の和を優先して行動をしているためである。
・日本人はリーダーを命令者と考え、スティーブジョブス等のワンマン経営者を好む。しかし、そんな人も身近で働いたい人にとっては、極めて独善的な人である場合も多い。リーダーは高い成果を出すことにこだわるため、時代的・空間的に遠いところにいる人から見れば、リーダーが出した成果のみが目に入るが、周囲で苦労した人々、嫌な思いをした名のなき人々の情報は伝わらない。

 

自助、共助、公助
・自助とは個々ががんばる。共助はコミュニティで助ける。公助は国の制度で助ける。
貧しい時代は自助と共助が基本だが、経済が発展するとコミュニティが解体する一方で、公助が充実する。しかし、高齢化がすすすみ、産業が停滞すると、公助が維持できなくなる。これからは再び共助が重要となってくるが、この中でリーダシップが必要となる。


2.リーダがなすべき4つのタスク

①目標を掲げる
・チームが目指すべき成果目標を定義する。そして、その目標はメンバーを十分に鼓舞できる魅力的なものである必要がある。
・目標を分かりやすい言葉で定義し、メンバー全員に理解できる形にしたうえで見せるのがリーダーの役割である。
・カリスマ経営者の多くが、他の人々から見れば無謀で有り得ない高い目標を口にするが、そこに到達することで大きな高揚感を得られる魅力的な目標を掲げて、多くの人々を動機づけようとする。
・容易に達成できる目標なら、リーダーなぞは不要である。リーダーは変化に対応するだけでなく、変化を起こす力のある人であるべき。
・リーダーシップのある人は、与えられた目標とは別に高い目標を設定し、自分なりの言葉に言い換えて、フォロアーを動機づけていく。

 

②先頭を走る
・どんな分野にせよ、最初の一人になるのは負担が大きく、その立場に自らをおくと決めることは勇気がいる。一人目になることは、失敗する可能性が高いため、必ずしも得な選択ではない。
・それでも最初の一人目になり、先頭に立つことを厭わないのがリーダーである。公衆の前に自分をさらし、結果がうまくいかない場合も含めて、そのリスクや責任を引き受ける覚悟があり、結果として恥をかいたり損をする可能性も受け入れる、受容度の高い人である。
・先頭を走る人が、一番前で最初に方向性を決めてこそ、メンバーは安心して走ることができる。

 

③決める
・リーダーは決める人である。たとえ十分な情報が揃っていなくも、検討を行う時間が足らなくても、決めるべき時に決めることができる人である。日本の組織の決断が遅いといわれるのは、この点におけるリーダーシップの差が出ている。
・決断にはリスクが伴い、リスクを取るのがリーダーの役目である。米国では、「A bat dicision is better than no decision」とも言う経営者もいる。しかし、日本人は人でなく、”場”にリスクを負わせるというびっくりする手法がとられる。
・決断は前に進むことにより、問題点を明らかにし、何かを改善すべきかを浮き彫りにするために行うこともある。問題点が洗い出されれば、一歩前に進むことができる。

 

④伝える
・リーダーの大切な仕事はコミュニケーションである。日本の組織は、長い間、同質的な人々で構成されてきたため、説明責任や言葉の力を軽視しがちである。
・強いチームとは、多様な価値観を持つ人が集まったチームであり、多様な個性の集まったチームを率いるには、リーダーには常に「言葉で伝える」ことが求められる。
・多様な人により構成されていると、同じゴールを見ているはずだったものが、少しずつ違ったゴールを目指すということも発生しうる。
・だから、リーダーのポジションにある人は、何度も繰り返して粘り強く、同じことを語り続ける必要があります。伝わっているかどうかも確認せず、「伝わっているはず」という前提を置くのは怠慢以外のなにものでもない。


3.リーダーシップの学び方
①バリューを出す
・”バリューを出す”とは、何らかの成果(付加価値)を生むということで、会議で有用な発言をしたり、ユニークな情報を提供したり、分析結果で画期的な洞察が得られたりすると、バリューがあると呼ばれる。
マッキンゼーでは「バリューゼロ」ということは、最も恥ずかしいこととされている。短い時間単位で、「どんなバリューをだしたのか?」と問い続けることは、行動の変容を伴い、仕事の生産性を向上させる。

 

②ポジションをとる(結論を出す)
マッキンゼーでは常に、自分の立ち位置をはっきりさせ、自分の意見を明確に述べるように求められる。求められるのはプロセスでなく成果であり、成果につながる可能性のある結論を明確にすることが求められる。「自分の意見を言え、分析の結果や理由をその後に述べよ」と。
・結論をフォーカスした議論は、仕事の生産性を向上させる。何故なら、結論を左右しない枝葉末節の分析に時間を使わないようになるため。反対に、結論を左右する重要なポイントに関しては、入念に検証しなければならないと意識が強くなる。
・完璧には予想することは不可能である場合、まずは決めてから問題点を洗い出して、対策を考えていくのは、新しいことを試す際のひとつの方法である。ポジションと取ることで、初めて得られるフィードバックや意義は、どんなに事前準備を詰めていても得られないほど、有意義なものになる。このようなフィードバックを取り込んで、継続的に改善していくやり方のほうが、現実的な場合もある。
・さらに重要なことは、目の前の案件について、「どこまで詰めたら決断すべきなのか」、「どうこまで詰めたら始めるべきなのか」を、意識的に考えておくこと。そうしなければ、着手が遅れてしまうことになりうる。
・日々ポジションをとることを意識すれば、自分に直接関係のない事柄であっても、当事者意識をもって考えるようになる。自分の結論を持つ癖が、決断力の実地訓練となる。

 

③自分の仕事のリーダーは自分
・自分が中心に位置する放射状の組織図を意識する。これは、「自分の仕事に関しては自分がリーダーであり、パートナーやマネージャを含めた関係者をどう使って成果を最大化するのか、それを考えるのが自分の仕事だ」という意味。
・たとえば、会議に出席するならば、自分の成果を得るために、上司や他のメンバーからインプットを獲得し利用するための場として会議を活用しようとする。
・具体的には会議の前に、
 議論したいこと、依頼したいこと、調整したいこと、決めたいこと
を相手ごとに達成目標として決めておく。

 

④ホワイトボードの前に立つ
マッキンゼーでは新人育成でインターナルチーム(社内の様々な活動に関わるチーム)での活動が利用される。同チームでの活動を通じて、チームでミッションを達成する方法を実地で学んでいく。
・その際には”ホワイトボードの前に立つ”ことが求められる。これはコンサルティングファームにおいて、議論のリーダーシップをとることを示す、象徴的な行為である。議論のリーダーシップを採るためには、会議の参加者が発する意見を全体像の中でとらえ、論点を整理したり、膠着状態を脱するために視点を転換したり等、様々なスキルが求められる。
・ただし、通常のOJTの訓練と異なり、「とりあえずやってみて、本当にできない部分だけを誰かに助けてもらう」という実践的な方法で鍛えられる。リーダーシップは今すぐ発揮することが求められる。
・そして、一定の条件下でリーダーとして機能するならば、すかさず困難な状況が与えられ、次々とより強いリーダーシップを発揮すべき機会を与えられる。こうして継続的に多彩なリーダー体験を積むことにより、自信を深めていく。

 

 

--------------- 感 想 ---------------

 採用基準というタイトルから、人の採用方についての解説かと勘違いしそうですが、リーダーシップに関して論じた書籍です。

 リーダーたる人の心得や行動について解説されており、これからリーダーを目指す人たちに対し、”理想のリーダー像”をイメージさせる内容となっています。

 だが、リーダータイプの人材を作り出す方法については触れられていません。採用基準というタイトルの通り、リーダはタイプの人材は作り出せるものではなく、多くの人材の中からその素質のあるものを発掘し、選別するということしかできないという考えが根底にある様です。

 素質のある者を見いだし、同書を読ませてリーダー像をイメージさせ、業務上で機会を与えて育てていくというプロセスが、現実的なリーダー育成方法かもしれません。

[5冊目]鈴木敏文の実践!行動経済学

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□書 名: 鈴木敏文の実践!行動経済学
□著 者:鈴木敏文

--------------- 内 容 -------------ーー

1.頭の使い方

情報を釣る「関心のフック」
・情報は大量に集めるだけでなく、価値付けができてなければならない。それより大切なのは、頭の中に「関心のフック」を多く持つことである。誰でも関心のある情報は自然と取り込まれてくる。
・関心のフックを生み出すのは日頃からの問題意識である。常に新しいものを海だそうと挑戦する意欲や問題意識こそが情報力を支える。

 

脱損失回避の心理
行動経済学のプロスペクト理論とは、「人間とは損と得を同じ天秤にはかけない。得る喜びよりも、失う痛みの方を2~2.5倍大きく感じる。」
・これを断ち切るには、見えない機会ロス見える化し、ロスにより失われる数字より、大きな利益を得られることを明らかにしていく必要がある。

 

トレードオフ思考
・一つは上質さの追求、もう一つは手軽さ(コストを含む)という2つの方向性がある。上質さと手軽さには一般的にはトレードオフの関係にある。
トレードオフは二者択一を解釈されるが、これは正しい理解ではなく、上質さの中にどれだけ手軽さをちりばめるか、もしくは手軽さの中にどれだけ上質さをちりばめられるかがトレードオフの戦略である。
・この2軸で考えて、競合が進出していないトレードオフの空白地帯を見つけることができれば自己差別化できる。

 

作業と仕事
・「作業」とはあらかじめ答えがわかっ行うもので、「仕事」は自分で責任をもって挑戦し、答えを出して問題解決していくものである。
・自己差別化するためには、社員一人ひとりが作業ではなく、独自のアイデアと創意工夫を生み出していく仕事を行う必要がある。
・経営者は社員に自己裁量を与えるなどしてやりがいを引き出し、それが成果に結びつくような好循環をもたらす用にすることが重要である。

 

キュレーション戦略
iPADはキュレーションされたコンピュータと言われている。
・キュレーションは次の流れで行う。
①新しく開発する対象のプラットフォームを想定し、既存の意味を問い直し、新しいコンセプトで再定義する。
②このコンセプトに基づいて、コンテンツを選択肢、絞り込み、結びつけて編集する。
③新しい価値を生み出す。

 

制約条件と勉強
・世の中には、新しいことを始める前に制約条件を考え、できない理由をいくつも並べて不可能だと結論づける人が多い。制約条件を固定して考える人には、新しい調整はとうていできない。
・目指すものを実現する方法がなければ、自分たちで方法を考える。必要な条件が揃っていなければ、その条件そのものを変えていくのが挑戦である。
・「新しい仮説は勉強からは生まれない」。「勉強」すればするほど、過去の制約条件を学んでしまうことになる。専門家が反対するものには、どうすればそれが成り立つのか、自分たちの既存知識では答えが出さないものもある。

 

「伝える」「わかる」
・人は知識や経験から、頭の中に様々な要素と構造が組み合わさったテンプレートを数多く持っている。もし、伝えようとする内容が相手の頭の中のテンプレートと一致すれば、「伝える」と「わかる」が一致し、言葉の裏付けが共有され、相手に自覚が生まれる。
・きちんと伝えるには相手に同じテンプレートを作らなければならない。平易な言葉で話す、相手の知りたい欲求を引き出す、例え話や数字を効果的に使うなどの方法は、相手の頭の中に同じテンプレートを作るための話し方の工夫にほかならない。

 


2.部下の指導方

 

脱・自己正当化
・「人間は失敗すると自分が納得しやすい話を作ろうとする習性がある」。成功すると自分の力だと思い、失敗すると自分以外の要員の性にして、責任を回避する。心理学では「自己奉仕バイアス」とも呼ぶ。その理由は自分を守ろうとする心理が働くこと、そして他人からよく思われたいとして、つじつま合わせをしたがる。
・部下は自己正当化を図ろうとする存在だが、部下の成長を促すには仕方がないと妥協せずに追求し、相手に気づきを与え、からを破らせることが重要である。
・また、上司は常に真実を掴もうとする探究心が必要で、バットニュースを埋もれたままにせず、簡単に納得しない情報感度を持ち、部下を突き詰めて追求していく。探究心は強い問題意識から生じる。自分の思い込みを見つめ直し、真の原因を探るように心がける。

 

目標設定と部下の成長

・数値目標は「独り歩きする目標」にもなれば、「殻を破らせる目標」にもなる。
・困難な課題であっても、目標とその意味合いが明確であれば、部下はそれを目指して今までのやり方を見直し、新しい仕事の発想を模索するようになる。

 

時間をかけてもいい仕事はできない
・人数が限られ、時間が限られれば、役割を細分化したり固定したりせずにマルチに対応しなくてはいけなくなる。そのために、何が本質的に重要か、集中して考えながら仕事の絞り込みをする必要が出る。
・マクロから見て、目指すべき目標と成果を明確にし、その上でミクロの仕事がそれに沿っているか検証することになる。それにより、ミクロの仕事に捕らわれて、ムダを生んでいたことに気づく。
・人間は善意の生き物だからこそ、必要最低限の人数で時間をかけずに取り組ませた方が効率化し、成果が上がりやすくなる。

 

3.リーダーシップ

 

絶対価値と相対価値

・競争社会にいると、我々は他社と比較した相対価値に目を奪われる。しかし、売り手として最も優先すべきなのは、顧客に満足してもらうという「あるべき姿」をひたすら目指す絶対価値の追求である。
・相対価値を比較しても、自分たちの視点では差異があっても、顧客からすると見分けがつかないことが多い。単なる自己満足である。
・絶対価値を社員に理解させるには「真の競争相手」が誰かを、はっきり認識させる。それはめまぐるしく変化する「顧客ニーズ」そのものである。

 

駆動目標
・「駆動目標」とは、ビジョンや理念を具体的な活動に近づけ、現場での対話や実践と連動させるための行動の基準になるものである。
・セブンーイレブンの場合は、「変化への対応」という企業理念を当たり前に実現させるために、「機会ロスの最小化」という駆動目標を設定している。

脱・伝言ゲーム
・駆動目標が明確であっても、それを社員に周知しなければ効果がない。トップ自身が真剣に経営に取り組んでいることを伝えるには、ダイレクトコミュにエーションでなければ不可能である。
・これは「伝言ゲーム」を排除するためでもある。トップから情報が下りてくる場合、トップ以外が否定的であったりすると、情報が下りてくる過程でネガティブなバイアスが入り込んでしまうためである。

 

爆発点理論
・経営を行う上で徹底して排除してきたことが、「なあなあ」「まあまあ」の暗にな妥協やなれ合いである。
・なれ合いにならない習慣を社員全員に身につかせていく。それが困難なことであっても目を背けない。妥協をせずに徹底する姿勢が積み上がって、あるとき大きな成果となって、必ず開花する。それが、爆発点理論である。

 

人間の持つ競争力
次の2つである。
①ブレイクスルー思考
・既存の概念を壊して、新しいことに挑み、新しいものを海だそうという意欲と能力。
・未来の可能性が見えた時(実現可能性6~7割)、そこから振り返って過去や現在を問い直し、今やるべきことを決断する。
・今は不可能なら、可能にする方法を考え、今が条件が整っていないなら、自分たちで条件を用意して、壁を突破する。
②コミュニケーション能力
・相手と対話をしながら一緒に考え、人間性を含めて相手と説得する能力。お互いにコミュニケーションをしながら、挑戦する心を奮い立たせる。

 

凡事を重ねて非凡化

セブン&アイグループでは「変化への対応」と「基本の徹底」の2つをスローガンに掲げている。

・「基本の徹底」を大切にするのは、当たり前のことを当たり前に行っていけば、それが結果として自己差別化に結びつくからである。当たり前のことを徹底して実践することはたやすくなく、凡事を重ねていくと非凡化するのである。

・また、「基本の徹底」を実践すれば、日頃の積み重ねから、変化に気づきやすくなり、「変化への対応」ができるようになる。

 

--------------- 感 想 -------------ーー

 書籍では仮説検証についても詳しく記載させていましたが、まとめでは省略しています。是非、関心のある方は書籍でご確認くださいませ。

 この本は勝見明氏が鈴木氏にヒアリングをしてとりまとめた形になっております。

そのため、自伝的に経営者の思いが綴られたものよりは客観的にまとめられており、実用性が高い内容であるかと思います。

 まとめ記事をご覧頂ければわかるとおり、鈴木氏は「人間とはどんな生き物であり、どのように考え、行動をするものか」というのを冷静に見つめているという印象を持ちます。

 「凡事を重ねて非凡化」というのは、前回の伊藤氏の話につながりますが。伊藤氏の仕事への思想を受け継いで、現実主義者の鈴木氏が実践していったということのように見受けられます。

 

 

[4冊目]ひらがなで考える商い(下巻)

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□書 名: ひらがなで考える商い(下巻)
□著 者:伊藤雅俊

--------------- 内 容 -------------ーー

経営者は鳥の目、虫の目、魚の目を持つ
・鳥の目は大局感。今なら注目点はグローバル化、情報化等。
・虫の目は現場を見る目。売り場で起きている細かな変化を見つける。「お客様は誰、何を求めている、何を買いたい」
 それを察知する。お客様を大衆として、ひとくくりで機械的にとらえると間違いが起こる。小売業の基本はできるだけ小さく、具体的に考えること。たとえば、品揃えを考えるとき、会社全体で考えると評論になってしまい。店頭で役立つアイデアは生まれない。
・魚の目は潮目を見極める力。時代の潮流は恐ろしい力を持つので、逆らうこともできず、気づかずに流される人も大勢いる。うまく使うとスピードが上がる。

 

社員300名以上なら社是がいる
・人間は弱いもので気が緩むと安易な方に流されてしまう。こうした脆さを防ぐために社是を使う。
 イトーヨーカ堂の社是
  私たちは、お客様に信頼される誠実な企業でありたい
  私たちは、取引先、株主、地域社会に〃
  私たちは、社員に〃
・社是の精神をもっとこまかにした規則を作る場合は、定めた上は頑固なまでに徹底して守らせる必要がある。

 

企業の共同は難しい
・共同仕入れの試みの多くが、はかばかしい成果を上げられなかった。「共同」という名の「無責任体制」に陥り、もたれあい状態になりやすいのではないか。また、共同化はそれを始めると拡大することが目的となり、本来の目的を失くこともある。
・共同は参加メンバーの相互信頼がよほど強固で、優れたリーダーがいないとうまくいかない。独立独歩、ひとりで道を切り開いていくのが商人のあるべき姿である。

 

お金が大事なのは
松下幸之助「お金が大事なのは、人々が働いて、汗を流した結果としてここにあるものだからだ」。お金の背景にある人々の労働が尊い。
・壊れたり、価値が下がることがない信用という無形の財産こそが、お金や商品より大事なこと。

 

万年悲観派
・私は最悪の場合はどうなるかを考えて経営してきが。うまくいく場合ばかりを想定して経営するのは、ギャンブルに賭けるようなもので危なっかしい。
・私は「今が会社の危機だ」と全期間考え続けてきた。良い時でも、「こんなときこそ危うい、気を引き締めなければ」と考えていた。
・立派な業績をあげると、経営者はホッとする。肩の荷をおろして一息つきたい気分であるが、ここで気を抜いてはいけない。歯を食いしばって、すぐに次の目標に向かわなければならない。
・どこか一か所で緊張を緩めると、自覚もないままに次々と手綱がゆるむのではないか。


創業の心を忘れない
・おごりの心に陥らずにすむのは経営上の大きな課題である。人間の心は強靭なものではないので難しい。
・「初心忘れるべからず」という言葉があるが、「初心」とは「創業の心」である。創業した時は「今日は果たしてうれるのだろうか」と不安な気持ちを抱え、お客様が神様のように見える。だが、商売が軌道に乗ると、感謝の気持ちや謙虚さが薄れ、自分の力だと過信する。
・「小さな事にぐらつかない自信」を持つには、
   過去の努力→現在の信用・好成績→
     現在の将来のための努力→将来の発展
 という過去、現在、将来を通じた一貫した背骨を通す努力をすることが重要である。

 

ウォルマートに学んだこと
・米国人の経営行動が、頭の中で考えたことでなく、経験をもとにしている。実際に色々やってみて、よかったことを取り上げていく。身体で覚えた経験が息づいている。
・自立の心を持っている。野生動物の様に自分の力が頼りであり、政府などはあてにしない。
・国際化というものは、こうしたたくましい相手と戦うことである。

 

人材を活用する
・「全部自分で処理しようと考える必要はない。それぞれの分野に精通した人がいるはずだから助けてもらえばいい」
・一方で、使う側は謙虚な気持ちを持つことが重要である。謙虚な気持ちが失ったら、それは社員に感染し、謙虚に対応する社風が失われる。だから、謙虚さだけは絶対になくしてはならない。
・私はなんでも言うことを聞く人よりも、ときには私に逆らい、直言する人を高く評価する。イエスマンばかりをかわいがり、身辺に集めるようになったらおしまいだ。

 

立派に仕事をする
・私は組織が官僚化するのおごりの気持ちが潜んで売ると思う。会社の中央本部が現場に指図するようになるのはおごりがあるからだ。お客様を一番大事にしないといけない小売業で本部が権力を持ち始めたら、それは衰退への道を歩み始めている。
・官僚的思考の人の特徴は、物事を自分の問題としてとらえないということである。どんなに立派な議論でも、三人称で話すのは責任感に欠ける。仕事は頭を使うことも大事だが、それ以上に身体を動かして行動に移すことが大事なのだ。
・実行するにしても、惰性でやれば進歩がなく、頭が必要になる。つまり、立派に仕事をするには、身体と頭がともに働くことが必要である。
・また、会社の仕事はグループでやるものだということを忘れてはいけない。仕事を誰とでもうまくやっていける能力があるかどうかは、社会人として一人前であるかの分かれ道だ。

 

社員のやる気
・社員のやる気を引き出す方法に絶対に正しい答えはない。だが、やる気をなくす原因ははっきりしている。自分の努力が会社から正当に評価されていないと感じた時、社員はやる気を失う。
・だが、現実にはすべての社員を正当に評価するのは至難の業。だから、努力を怠っていいというわけでなく、最大限の努力をするのは会社として当然のこと。
・また、官僚化はやる気を引き出す上での最大の阻害要因でもある。官僚化した組織では社員の取り組みに文句をつけてきて、現場のやる気を阻害してしまう。

 

社風と体質
・社風とは良いことを表し、体質とは悪い事柄を表わす。悪い体質はすぐに社内に広がるが、社風を確立するには長い間の絶えざる努力が必要である。
ヨーカ堂では単品管理が社員教育のポイントになっている。当事者意識のある社員は、どんな難しい問題が起きても、自分の問題として捉えるが、当事者意識が低い社員は他人に責任を転嫁する。単品管理は社員に当事者意識を持ってもらうのにとても役立つ。
・単品管理をすると、社員が仕入れ、売り方などのすべてを任せるので、エキスパートにならざるを得ない。どうすればもっと売れるか、自分で考え、判断する。
・仕事の中に「考える」、「仮説を立てる」という要素が加わると、人は俄然やる気を出して生き生きとしていくものである。
・小売業で大切なのは「基本の徹底と変化への対応」である。人間は惰性に流されやすい生きものであり、強い意思を持っていないと同じ事を繰り返す。「基本の徹底」は同じことの繰り返しでなく、「変化への対応」するためには絶えざる改革が必要となる。

 

--------------- 感 想 -------------ーー

 上巻に続き、万年悲観派などの危機感のもたせ方や、仮説検証による問題の真因を捉えて改善し続ける姿勢は、トヨタ式経営にもつながる考え方が含まれているように思います。

 また、次回の書評で登場しますが、鈴木氏の経営姿勢の共通した考えが底流にあることがわかります。

 なお、ウォールマートの例が本書では記述されていますが、これは今の姿のウォールマートではなく、サム・ウォルトンが健在であった時代の同社のことを指しています。現在の同社は良いことは聞きませんが、当時は合理的、効率的だが、人間的な経営を行っていたらしいです。

 

 

[3冊目]ひらがなで考える商い(上巻)

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□書 名: ひらがなで考える商い(上巻)
□著 者:伊藤雅俊

--------------- 内 容 -------------ーー

「商人の道」
農民は連帯感に生きる
商人は孤独を生き甲斐にしなければならぬ総ては競争者である
農民は安定を求める
商人は不安定こそ利潤の源泉として喜ばねばならぬ
農民は安定を欲する
商人は冒険を望まなければならぬ 絶えず危険な世界を求め 
そこに飛び込まぬ商人は利子生活者であり 隠居であるにすきぬ
農民は土着を喜ぶ 大地に根を深くおろそうとする
商人は何処からでも養分を吸い上げられる浮き草でなければならぬ
其の故郷は住むところすべてである 自分の墓所はこの全世界である
先祖伝来の土地などという商人は一刻もはやく算盤をすてて鍬をとるべきである
石橋をたたいて歩いてはならぬ
人の作った道を用心して通るのは 女子供と老人の仕事である
我が歩む処そのものが道である
他人の道は自分の道ではないと云う事が商人の道である


平凡に思える事柄を実行して押し通す
・小売業は本質的に、お客様の方を向いて行うものであり、お客様のためのものです。お客様により豊かな暮らしを提供するには、商人として当たり前のことで、私の志は珍しいものでも画期的なものでもありません。
・問題はこの平凡に思える事柄を、実行し通すことができるかどうかです。大事なのは地道に一日一日を大切にすることだと思います。

 

感謝を大切にする
・今日も楽しく仕事ができる。食事もおいしくいただける。そのことに感謝する気持ちを養わせたいから、挨拶するようにしつけている。お客様に感謝する。世間に感謝する。その気持ちを失ってはいけない。
・商売の基本は誠実さ、信用である。感謝の心はその前提になるものだと思います。感謝する心があるから、誠実に対応できる。誠実に対応するから信用していただけるものだと考えます。
・私は冥利いうことばと大切にしています。冥利とは神仏から知らず知らずのうちに与えられている利益のことです。「おかげさまで」という感謝の気持ちに通じます(*)。商売の利益はむさぼるものではなく、与えられるものだと思います。それが商人の道であり、人の道ではないでしょうか。
・商売がうまくいったからといって、自分が人より優れていたからだと考えるのは、私には危なっかしく思えます。そういう不遜な、恐れを知らぬ考え方は、どこかでつまずきそうです。私には本当に恐ろしいことのように思えます。商いという一日一日を着実にこなさなければならない仕事には、不向きな考え方だと私は思っています。(*):「自分は生かされているのだと考えるのが冥利であり、そこから謙虚さや感謝する心が生まれます。」ともある

 

商いは飽きずに
・私の実感としては、よく言われてきたように「商い」は「飽きない」であるというのがぴったりします。「商い」はまさに、飽きずに続けることがとても重要だとおもうのです。飽きやすい人には向かない仕事ではないでしょうか。
・飽きないためには、好きであることが一番です。好きなことなら、売れ行きの悪いときにも元気良く商売を続けられます。飽きずにやっていれば、商売のコツもすこしずつ分かってきて、自信がついてきます。
・「好き」はやる気の一番大事な要素ではないでしょうか。商売で重要なことは、我慢をして、飽きずにやることです。月並みですが、要するに地道な努力が必要なのです。その意味からも、商売が好きなのは、とても大事なことだと思います。

 

"がまん"が大事
・毎日、懸命に仕事に励んでいないと、商売が見えなくなることがあります。有名なピアニストが「一日練習を休むと、うまく弾けなくなっているのが自分ではわかる。三日怠ると、聴衆にわかる」と語ったはなしを聞いたことがありますが、商売もまったく同じです。店はひとつではありません。数多くの店がしのぎを削っているのです。たとえ「商売ばか」と言われようと、ひとつのことに徹する姿勢が大切だと思います。いろいろなことに目移りせず、愚鈍なまでに"がまん"しつづけるのが、プロのやり方だろうと思うのです。
・ひとつのことに徹するのは、視野を狭くすることではありません。ひとつのことを"がまん"して続けるのは、同じやり方を続けるのとは違います。これでは進歩がありません。ひとつのことに徹する姿勢を貫けば、その時々の状況に対応した方法がわかってくるということなのです。何事も基本をしっかり身につけることにより、応用力がついてきます。

 

理屈ではなく感性
・お客様に何を提供しなければならないか、それは決して難しい問題ではありません。横文字の新しいことばや数字を並び立てて理屈で考えるから、わからなくなるのです。感性で捉えることが大事です。
・わかっていない人ほど、理屈をこねたがります。理屈ばかりでものを考えていると、だんだんものの見方が狂ってきます。理屈をこねまわすのではなく、塩辛いてんぷらを食べたお客様がどんな感じを持たれているのか、感性でわからなければいけません。お客様を大切にするということは、理屈ではないのです。

 

タコつぼ人間
・商店も少し大きくなると、働く人たちにはそれぞれ担当の仕事が振り分けられます。そうするとタコつぼ人間が現れてきます。自分の仕事だけにとらわれて、視野がぐんと狭くなってしまう人たちです。自分の努力不足を棚に上げて、他の担当がもう少し頑張ってくれたらと言い出します。それだけでは何の役にも立たず、問題解決にはつながりません。

・タコつぼ人間にならないためには、自分が周りに張り巡らしている壁を取り除き、視野を広げることが必要です。仕入れ担当者なら販売現場ことを考え、コミュニケーションを良くして、自分勝手な仕入れを避けるようにしなければいけません。
・もうひとつは、一段階上に立ってものを見るように心がけることです。仕事に結びつく情報をできるだけ広く集め、世の中全体の動向にも注意を払う必要があります。青果の人なら、天候の具合で味のよいもの、相場が上がったもの、たくさんとれて値段が下がったものは何か、何を揃えればお客様に喜んでもらえるかを考えなくてはいけません。
・これらのことは、日々怠らずに実行しなければならない基本です。仕事になれてきたからといって感性を鈍らせることなく、研ぎ澄ましながら、飽きずに続ける必要があります。基本はそれ自体、同じことの繰り返しではなく、単調な作業ではありません。いつも改善を心がけ、少しでも多くのお客様の役に立つ努力を続けることです。お客差に喜んで頂くことこそ、商人にとって最大の喜びです。

 

小売業での人材
・小売業に東大出の人が来たら、それは人材でしょうか。小売業では、東大を出ているからといって、それだけで高い評価をする必然性はないと思います。商人にも勉強は必要ですが、商人にとって大切なのは、高度な知識というより、深い知識ではないかと思うのです。
・「商人が漢字や難しいことばでものを考えるようになると、現場から遠ざかっている」というのが私の持論です。そうなったときには要注意です。現場が遠のき、肌身で感じ採れることが少なくなって、商いの活力が失われ始めているのです。
・「ひらがなで考える」ことが重要です。「ひらがなで考える」とは、本で読んだり聞きかじって得た知識でなく、実践を通して身に付いた知識を生かす思考です。経済書や経営書を必死に勉強し、頭の中で経営の理屈がわかったとしても、優れた経営者にはなれません。お客様や社員と毎日接し、ときには失敗の苦さをかみしめて得た知識があってこそ、立派な経営者になれるのです。
松下幸之助さんは「あまりインテリが集まりすぎている会社は、発展しない」とも言われました。思慮分別のかたまりになると、冒険するエネルギーがなくなり、頭を垂れる商人の精神が乏しくなるということなのだろうと思います。声高に銭湯を切って旗を振る人が率いる会社よりも、黙って仕事をこなすひとが大勢いるどろくさい会社の方が、底力があると思うのです。小売業の場合は、その人たちがお客様に暖かい気持ちで接することのできる集団であれば、本当の強い組織といってよいのではないでしょうか。

 

官僚化は大敵
・組織が大きくなると官僚化しがちですが、これが大敵なのです。人間はとかく権力を握りたがり、握ると振りかざしたがります。人間の権力に対する欲求は驕りから生まれるものだと私は思います。
・商人が驕り始めたらおしまいです。お客さまには買っていただくのであって、売ってやるのではないのは、当たり前のことです。驕り始めると、この何より大切な商人としての立脚点に狂いが生じます。
松下幸之助さん「人間というものは、やはり謙虚さが大事ですが。社員でも、謙虚に勉強する人は、まあ間違いないものですよ」。私が一番大切にしたいのも、このことです。小売業は不特定多数のお客様を相手にしているだけに、余計にそう思います。
・私の経験では官僚化を防ぐことは大変難しいことです。官僚的な人の周りには、官僚的な人が集まるようです。官僚的な人が起用されると、そうでなかった人が官僚化していく場合があります。
・官僚化の兆しは、三人称でものごとを説明するところに表れます。官僚的なひとは非常にうまい言葉でいろいろなことを言いますが、一人称でなく、三人称いうのが特徴です。たとえば、「私がやります」とは言わずに、「社員はやるべきである」といった言い方をします。自分が分担すべき事項についても、三人称で表現したりします。
・私は三人称でものを言う人は不要であり、一人称で話す人こそ必要な人材だと思います。自分がやるべきこと、できることを、「やります」というのが大切なのです。それが謙虚な姿勢であり、責任ある態度だと思います。

 

「我等の誓い」
1.質素な人生観
2.厳格な教育、反復練習
3.暖かい人間味、思いやり
4.信頼に対して誠実を持って報ゆる。恥を知る心。
5.親しみのある相互の礼儀
6.うぬぼれず、自己反省
7.自分の欠点に打ち克つ克己心
8.物を大切にする心
9.難しい事柄には、明るい善意の解釈
10.常に心を新しく研究心
11.ヨーカ堂らしい清潔
12.親を安心させる愛情(孝は百行の基)
13.静かな愛国心
14.心が明るければ身体も上部である。
15.平凡な善行の継続を、努力してやり抜けば最大の力である。
・質素な人生観とは、貧乏くさい生活を送ったり、心を萎縮させたりすることではありません。要は、仕事に関しては、お客様の暮らしを下から支えるのが商人の仕事をわきまえて、間違ってもお客様を見下すような態度を取ったり、服装をしてはならないということです。

 

業種による特徴
・お客様の健康や命にかかわる食べ物の仕事は、絶対に間違いが許されない厳しい商売です。食品と繊維の仕事に携わる人を比べると、命に関わらないだけ、繊維の人は気を抜いたところがあります。製造業と商業を比較すると、融通が利く人間相手の商売は、機会が相手の製造業よりだらしないところがあります。
・物を作ったり動かしたりする仕組みを合理化する点では、製造業が前を行き、お客様に向き合った経営という面では、商業が先に進んでいるのではないでしょうか。それぞれの業にはみな特性があるのえ、他業に学ぶ点は多いと思います。

 

--------------- 感 想 -------------ーー

 著者の伊藤雅俊氏はイトーヨーカ堂の名誉会長だった方です。一般には株式会社セブン&アイ・ホールディングス代表取締役会長、最高経営責任者である鈴木敏文氏が有名ですが、同社の商売の基盤や社風にあたるものは伊藤雅俊氏が築いたものだと小職は考えております。その本質は何かといえば、飽かず地道に着実に基本動作を繰り返して、そして改善していくことといえます。

 特に「人間とはこうゆものだ」といった、メタ認知的に少し離れて人や物事を冷静に見る姿勢は、鈴木氏と共通したテイストを感じます。伊藤氏は商人道を修行者の様にストイックに説いておられるので、多分精神的リーダーとしての役割を果たし、鈴木氏は実践者として地道かつ合理的に進めていかれたのではないかと推察しています。この本を読んだあとに、鈴木氏の著作を拝読すると、「その背景には伊藤氏の思想の影響があるのだな」と感じることがあります。

 さて、小職は会社勤めですが、勤め先は大企業病なのかタコつぼ人間、官僚体質人間ばかりが目につきます。この本では残念ながら、その様な人たちをどうすれば良いのかという解決策は示されていません。是非、良い考えがあればお教えいただきたいものです。

 

 

 

 

 

[2冊目]ムダ時間削減術

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□書 名:ムダ時間削減術
□著 者:西田順正

--------------- 内 容 -------------ーー

1.ムダ時間の種類

ムダ時間には2つある
①だらだら時間(どんくさい時間)
・一見すると働いているように見えるが、ゆっくりとムダな動作で仕事をしている。手際が悪くて仕事が遅い。
・だらだらとしているかは「基準時間」と比較することによりわかる。
②ぼーっと時間
・手待ちの状態で何もしていない。

 

時間管理の目標
・”稼ぐ働き”、つまり付加価値のある仕事をすることにある。

 

だらだら時間をあぶり出す
・まずは“基準時間”を設ける。そのために有効なのは日報をつけること。他人に日報をつけてもらうには目的、意義、活用方法をちゃんと伝えること。
・日報のポイントは次の2つ
①ルーチン化する。そのためには入力作業を簡素化し、迷ったり、判断が必要な項目をなくす。
②リアルタイム化する。当日中に機械的に入力が終えるようにする。
・日報をつけることが難しい現場作業では、出来高と標準時間とを掛け合わせ、見なし時間で記録する。

 

目標時間を設定する
・目標時間を設定しないと人間はだらだらを過ごしてしまう悪い癖がある。逆に締め切り時間を設けることで、人間に集中力が高まる傾向がある。ムダ時間をそぎ落とすためには目標時間の設定は避けて通れない。
・改善が進むと標準時間を定期的に見直しを行う。

 

ぼーっと時間をあぶり出す
・だらだら時間がつぶせなければ、ぼーっと時間は現れてこない。まずはだらだら時間を減らすことから始める。
・付加価値を生み出していない時間は全て、ぼーっと時間と位置づける(掃除や打ち合わせなど)。ぼーっと時間はゼロにはできない。


2.改善を行う
(1)能率100%改善
・能率を改善する際にはQCDを念頭においておく必要がある。このうち、Qを優先させた方が経験的にDも守れ、Cも下がる傾向がある。
・能率アップの第一歩は作業の分解である。作業を分解して、まずはそれぞれの工程の作業時間を洗い出して、ムダを探す。
・その人しかできない作業と分業可能な作業とを腑分けし、他の人と手分けができないかを考える。
・作業分担を行う上ではスキルマップを使う。

 

(2)能率130%改善
1)過剰品質のムダ
・丁寧すぎて過剰品質のムダがないかを探し、シンプルに変えていく。

2)作りすぎのムダ
・作りすぎのムダは、直接だらだら時間となり、更には廃棄コストにもつながるので今すぐやめる。

3)動作のムダ
①できるだけ小さな身体部位を使う
・小さな部位で済ませられないなら、順番に大きな身体部位にエスカレーションする。
例:指⇒手首⇒ひじ⇒肩⇒腰⇒足
②両手で同時スタート、同時実行。
・人間は両手があるので、作業時間を最大半分にすることができる。
③両手を左右対称に動かす。
・身体をひねるような動作をなくし、身体のセンタでー中心で仕事を行う
④考え込むムダをなくす。
・10分考えてだめなら、他人に相談する。

4)移動のムダ
・移動ゼロを目指し、必要なものがすぐに取り出せるようにしておく。

5)ちょこ待ちのムダ
・本来の仕事とは別に行えるちょこっとした仕事をあらかじめ決めておく。


(3)能率200%改善
ECRSで考える。
・E:Eliminate、排除する。なくせないか。
・C:Combine、結合する。組み合わせられないか。
・R:Rearrage、交換する。入れ替えができないか。
・Simplify、簡素化。簡単にできないか。

 

--------------- 感 想 -------------ーー

 だらだら時間、ぼーっと時間とわかりやすくムダ時間を分類して、具体的に対応策を提示して頂いているので、業務改善には役立つ内容です。

 ただし、サービスマンやブルーカラー中心に話が展開されており、ホワイトカラーの生産性向上については、目標時間を設定の重要性の件だけなので、切り込みが足らない様に思います。

 小職が考えるにはホワイトカラーの場合は、成果物が形があるものとは限らないので、

  相手の関心分析や期待値のコントロール十分でなくて、成果物が曖昧な状態

  で推移し、完成品を提示後に大きな手戻りが発生する。

というのが最大のムダ要因だと思います。また、

  タイミングを逃して成果物を提示することで、成果物が不要物になる。

ということもあります。

 要は、仕事はそれに関わる人々の連鎖から成り立っているので、その連鎖がうまく回らなくなるものはすべてムダ要因と言えるでしょう。

 各論であれば、情報検索のムダ、待ち時間のムダ、パーキンソンの法則とかが挙げられます。この様に書いていくと、プロジェクト・マネジメントのCCPMにつながる様に思えるので、また別途お話しましょう。